子育てに悩むあなたへ

──親は、子と共に育っていく


子どもが生まれた瞬間、
人は「親」になる。

そう思われがちだけれど、
実際はそんなに簡単なものじゃない。

親は、
子どもを産んだからといって
その日から完璧な「親」に
なれるわけではありません。

むしろ——
子どもと一緒に悩み、失敗し、迷いながら、
少しずつ“親にさせてもらう”ものだと、
僕は思っています。


■ 親もまた、初心者

初めての子育ては、分からないことだらけ。
正解も見えない。
誰かと比べて不安になる。
「これで合っているのかな?」と
自分を責めてしまう。

でもそれは、
あなたがダメな親だからじゃない。

本気で向き合っている証拠です。

寿司職人も同じ。
包丁を握った初日から
一人前になれる人はいない。
何度も失敗し、叱られ、悔しい思いをしながら、
少しずつ“職人にさせてもらう”。

親も、それと全く同じ。


■ 子どもは、親を育ててくれる存在

子育てって、
子どもを育てているようでいて、
実は親自身が一番育てられている。

思い通りにならない現実。
自分の未熟さ。
感情のコントロールの難しさ。

子どもがいなければ、
気づかずに済んだ自分の弱さと向き合わされる。

でもそれは、
あなたが悪いからじゃない。
人として成長するタイミングが来ているだけ。


■ 「ちゃんとした親」にならなくていい

「ちゃんとしなきゃ」
「良い親でいなきゃ」

その想いが強い人ほど、苦しくなります。

でも、子どもが求めているのは
完璧な親じゃない。

失敗しても立ち上がる姿
悩みながらも向き合う姿
間違えたら謝れる姿

それを見せることこそが、
子どもにとって一番の“教育”だったりします。


■ 親である前に、一人の人間でいい

怒ってしまう日もある。
余裕がなくなる日もある。
自分を嫌いになりそうな日もある。

それでもいい。

親も人間です。
感情を持ち、揺れながら生きている。

そしてその揺れの中で、
少しずつ、確実に“親”になっていく。


■ まとめにかえて

子育てに悩むあなたへ。

今、悩んでいるということは、
あなたが真剣に子どもと向き合っている証です。

焦らなくていい。
完璧じゃなくていい。
立ち止まってもいい。

親は、
子と共に育っていく存在なのだから。

寿司職人
すし処とし 大将・森敏也