タイムイズLIFE『仕事ver』

タイムイズLIFE


時間は、お金でも買えない貴重な財産です。人生は有限であり、時間はその大切な一部です。日々の忙しさの中で、つい時間の価値を忘れてしまいがちですが、一度過ぎた時間は二度と戻りません。髪を切る間や食事を楽しむ間も、お客さまにとっては大切な「自分の時間」。そこで私たちがお店で心がけたいのは、相手の時間を尊重する姿勢です。

人生は有限:時間は命の一部

私たちの人生は限られています。学生時代や仕事の合間にふと考えると、たとえば一日に10分無駄に過ごしていたら、一年で約62時間もの時間が失われる計算になります。その時間は勉強でも趣味でも人との交流でも使えたはずです。時間は命の一部と言われるように、大切な「命の時間」を無駄にしないことは、生き方そのものにもつながる大事な価値観です。

過剰な接客がお客さまの時間を奪う

美容室や居酒屋、寿司屋などで接客をしていると、つい話しかけたくなることがあります。私自身も「おもてなし」として会話を楽しませようと思っていました。しかし、実はそれがお客さまの貴重な時間を奪っているかもしれません。たとえば以下のような場面です:
 • 必要以上の長話:髪を切っているときに、仕事の愚痴やプライベートな話を長々と話す。お客さまが静かにしたいときでも遠慮なく話しかけてしまう。
 • しつこいお勧め:メニューの注文後や施術の合間に、やたらと他の商品や追加サービスを勧め続ける。お客さまはリラックスしたいだけなのに、つい「セールストーク」になってしまう。
 • 会話の空気を読まない:お客さまの表情や態度を気にせず、自分の話を続けてしまう。例えば、静かに目を閉じてリラックスしているお客さまに話しかけてしまうなど。

これらはお店側が「接客してあげている」と思っていた行動でも、実はお客さまの時間や気持ちの余裕を奪う可能性があります。お客さまはその時間にゆったりしたい、あるいは考え事をしたいかもしれません。それなのにこちらの話で邪魔をしてしまったら、せっかくのお店の雰囲気も台無しです。

相手の大切な時間を奪ってはいけない

「相手の大切な時間を奪ってはいけない」という価値観は、サービス業において基本中の基本です。目の前のお客さまに接する際、まずは時間を共有してくださっていることへの感謝の気持ちを持ちましょう。私たちが働く場面では、以下の点に気を配ることでこの価値観を守れます:
 • 聞くことを優先する:話し過ぎず、まずはお客さまの声に耳を傾けます。お客さまが話しかけてきたときにだけ必要な情報を提供する。お客さまが静かに過ごしたそうなら、こちらから無理に話しかけない。
 • 空気を読む:会話のテンポやお客さまの雰囲気を感じ取りましょう。笑顔で会話を楽しそうなら弾むトークに。目を閉じていたり、本を読んでいたりするなら、そっとしておくのが思いやりです。
 • 必要最小限の言葉で:伝えるべきことは簡潔に。長すぎる説明や余計な雑談は避けます。お客さまはサービスを受けるために来ているので、無駄な会話よりも落ち着いた時間や技術を求めていることが多いです。
 • 相手の立場に立つ:自分がお客さまだったらどう感じるかを想像します。リラックスしたい場面で話しかけられたら…、買い物や施術中に次々と提案されたら…、そう考えると会話量や内容に自然と配慮が生まれます。

このようにして**「相手の時間を尊重する」**態度を持つことで、お客さまも心地よくお店のサービスを受けられるようになります。

心地よい接客とは

お店とお客さま、どちらもが自然体でいられるコミュニケーションこそが心地よい接客です。心地よい接客のポイントを整理してみましょう:
 • 共感と安心感:お客さまの話をよく聴き、うなずいたり相槌を打ったりして「理解しているよ」という姿勢を示す。こちらがリラックスした態度で接すれば、お客さまもくつろげます。
 • タイミングを見計らう:お客さまが話したがっているときには笑顔で返事をし、話したくなさそうなときは無言のサポートに徹する。何気ない沈黙も決して悪いわけではありません。
 • 過度な自己開示を控える:自分ばかりの話にならないように注意します。時にはちょっとした雑談もいいですが、会話が一方的になりすぎるとお客さまは疲れてしまいます。
 • サービスの質を高める:人との会話だけでなく、技術や商品の説明など本来のサービスにも注力します。お客さまが満足できる技術や商品があってこその接客です。

要するに、お客さまのペースや状況を尊重しながら気持ちを察するのが心地よい接客。たとえ会話をあまりしなくても、お客さまが満足できるよう最善を尽くすことが大切です。

聴く姿勢と心と言葉のフィルター

良い接客には「聴く姿勢」と「言葉のフィルター」が欠かせません。聞き上手になり、話すときは言葉を選ぶことで無用な失礼を防げます。
 • 聞き上手でいる:お客さまが何を求めているのかを探りつつ、まずは話を受け止めます。ただ聞くだけではなく、「なるほど」「それは大変でしたね」といったリアクションを返して安心感を与えましょう。
 • 言葉を選ぶ:心の中に浮かんだことをそのまま口にしてはいけません。伝える前に「これを言っていいかな?」「不快にさせないかな?」と一瞬思い留まり、優しい表現を心がけます。
 • 相手への配慮:たとえ悪気がなくても、ストレートすぎる表現や専門用語、否定的な言い回しは避けます。お客さまがリラックスできるよう、敬語や丁寧語を使うなど言葉遣いにも気を配ります。

こうした聴く姿勢とフィルターによって、お客さまの大切な時間を無駄にせず、信頼関係を築けるはずです。

まとめ:尊重し合う時間

最後に改めて言いたいのは、「時間は命そのもの」ということ。お客さまだけでなく、自分自身にとっても時間はかけがえのないものです。だからこそ、相手の大切な時間を奪ってはいけないという考え方は、接客だけでなくあらゆる人間関係で大切です。

お店で忙しい毎日かもしれませんが、立ち止まって時間の使い方を見直してみてください。次にお客さまと接するときには、ちょっと静かに相手の表情を見てみるだけでも、気づきがあるはずです。互いに尊重し合いながら過ごす時間こそが、タイムイズLIFEの精神そのものなのです。